飲食店のホームページ作り変え、予算が限られるならどこから直すか
お客様が来店前に確かめる順に直す、優先順位の決め方
森啓亮(代表) / CRE-COMSENCE(クリコムセンス)

飲食店のホームページを作り変えるとき、予算が限られるなら「営業時間・定休日・場所・電話番号・予約の可否」から直すのが現実的だと思っています。お客様は味や雰囲気より先に、今日そこへ行けるかを確認するからです。写真やデザインはその次。さらに、自分で当日中に臨時休業を出せる形にしておくと、作り変えの効果が長く続きます。
最初に直すのは、来店できるかを判断する情報
飲食店のホームページを作り変えるとき、予算が限られるなら最初に直すべきは、営業時間・定休日・住所と地図・電話番号・予約の可否・駐車場といった「今日そこへ行けるか」を判断するための情報です。デザインや写真より先に、この部分がスマホで数秒で分かる状態になっているかを確認してください。
理由は単純で、飲食店を探している方の多くは、味や雰囲気より先に「今日、そこに行けるかどうか」を確かめるからです。行けないと分かった時点で、どれだけ良い写真があっても読まれません。
次の項目が、スマホで最初の画面から2〜3回の操作以内にたどり着けるかを見てみてください。
- 営業時間(ランチと夜で分かれている場合は両方)
- 定休日と、年末年始や臨時休業の扱い
- 住所と、地図アプリを開けるリンク
- 電話番号(スマホでタップして発信できる形になっているか)
- 予約が必要か、当日でも入れるか
- 駐車場の有無と台数
- 席数と、個室や座敷があるか
北海道の場合は、ここに冬の事情が加わります。大雪で営業時間を短縮したり臨時休業したりする日に、その情報をご自身で当日中に出せるかどうか。古いサイトで「更新は制作会社に依頼」となっていると、この一番伝えたい日に何も出せません。作り変えの相談を受けるときは、まずここを確認しています。
メニューと写真、どちらを先に手を入れるか
メニューの整理と写真の撮り直しでは、更新の手間と費用の面から、まずメニューの情報を正確にそろえるほうが先に着手しやすいと考えています。ただし、看板メニューの写真が1枚も無い、または暗くて何の料理か分からない状態であれば、写真を優先する価値があります。
どちらを先にするかは、お店の状況で変わります。判断の材料として並べます。
- かかる手間 — メニュー整理の場合は、価格改定を反映して品名を打ち直す作業が中心で、営業の合間でも進められる / 写真の場合は、撮影の日程確保と仕込みが必要で、半日単位の時間が要る
- 費用 — メニュー整理の場合は、原稿をご自身で用意できれば追加費用はほぼかからない / 写真の場合は、撮影を依頼すると別費用になる
- 効く場面 — メニュー整理の場合は、行くかどうかを決めかけている方の後押しになる / 写真の場合は、店をまだ知らない方に雰囲気を伝える入口になる
- 古くなりやすさ — メニュー整理の場合は、価格や品揃えが変わるたびに直す必要がある / 写真の場合は、内装や盛り付けを変えない限り数年使える
私の見てきた範囲では、すでに常連がいてメニューが頻繁に変わるお店はメニューの整理から、新しい層に知ってもらいたいお店は写真からのほうが納得感があるように思います。
どちらを選ぶにしても、看板メニューの写真が1枚も無い状態だけは避けたいところです。作る側としては、料理写真は表示の重さに直結するので、掲載時にサイズと形式を調整しています。
予約・SNS・外部サイトへの導線はどう選ぶか
予約・SNS・外部のグルメサイトへの導線は、全部を同じ強さで並べるのではなく、お店が確実に対応できる方法を1つ主役に決めて、それ以外は補助として控えめに置く形をおすすめしています。導線が多いほど親切に見えますが、受ける側の手が回らないと取りこぼしが増えるためです。
導線を選ぶときの基準を挙げます。
- 予約の取りこぼしが気になるか — 電話に出られない時間帯が長いなら、サイト側でネット予約を受けられる形を検討する価値があります
- 受けた予約をどこで確認するか — 予約の入り口を増やしても、確認先がメール・アプリ・紙に散らばると当日の混乱が増えます。1か所にまとまるかを先に決めてください
- SNSは日々の発信が続いているか — 更新が止まっているアカウントへのリンクは、かえって「今も営業しているのか」という不安を生みます。続いているものだけを載せる判断で構いません
- 外部サービスに任せる範囲 — 席の空き状況の管理まで含めて外部に任せるなら、サイト側はそこへ確実につなぐ役割に徹したほうが、迷いが減ります
当社の場合は、自社開発のCMS「UpNote」にネット予約の受付と問い合わせの受信箱を入れていて、予約も問い合わせも同じ場所に届き、メールとLINEに通知が来る形にしています。業務システムを作ってきた経験から、入り口を増やすより「受けた後がひとつの画面に集まること」のほうが現場は楽になると考えているためです。
古いサイトから何を残し、何を作り変えるか
古いサイトから残すべきは、ドメイン名、既存ページのURL(変える場合は転送の設定)、これまで撮りためた写真の元データ、そして地図アプリやGoogleビジネスプロフィールに登録済みの店舗情報との整合性です。見た目は作り変えても、この4つは引き継ぐ前提で進めると、作り変え後の問い合わせの取りこぼしを減らせます。
作り変えのときに私が確認している順番です。
- ドメイン名(例 — ○○.com)を誰の名義で持っているか確認する。ドメインは場所ではなく名前で、住所にあたるのはIPアドレスです。名前を引き継げれば、名刺やチラシに刷ったアドレスも生き続けます。
- 現在のサイトのページ一覧を書き出す。どのページが残り、どれが無くなるかを決めます。
- 無くすページ、URLが変わるページには転送(リダイレクト)の設定を用意する。これを省くと、以前のページを見ていた方が行き止まりに当たります。
- 写真の元データを回収する。制作会社の手元にしか無い場合、後から探すのは大変です。
- Googleビジネスプロフィールの営業時間・住所・電話番号を、新しいサイトの表記と一致させる。地図から来る方が多い業種なので、ここがずれていると混乱します。
- 公開後、サイトマップの送信とURL表記の統一を確認する。URLの末尾に「/」が付くかどうかがサイトマップや正規URLの指定と食い違うと、検索エンジンが正しいページを判断しにくくなります。実務では公開時にここを揃えています。
なお、作り変えによって検索結果での見え方がどう変わるかは、私を含め誰も保証できません。できるのは、転送や表記の食い違いといった技術的な取りこぼしを無くしておくことだと思っています。
