個人事業主の開業直後、SNSと自分のホームページはどう使い分けるか
役割の違いから考える、開業直後の優先順位と育て方
森啓亮(代表) / CRE-COMSENCE(クリコムセンス)
開業直後は、SNSを情報発信の中心にしつつ、小さくても自分のホームページを先に持っておく形をおすすめしています。SNSは思い出してもらうための流れる接点、ホームページは名前を知った人が料金や対応範囲を確かめる留まる場所で、役割が違うためです。まず5項目だけのページを公開し、SNSのプロフィールからそこへつなぐ進め方が、個人事業主には負担が少ないと思っています。
🔍 SNSと自分のホームページは何が違うか
SNSは「思い出してもらう・偶然見つけてもらう」ための流れる接点で、自分のホームページは「名前を知った人が条件を確かめる」ための留まる場所です。個人事業主の場合、この二つは置き換えの関係ではなく、役割が分かれた別のものだと考えています。
SNSは、相手が探していなくても画面に流れてきます。一方でホームページは、屋号や業種で検索した人が自分の意思で訪れる場所です。
この違いを、いくつかの項目で並べてみます。
- 届き方 — SNSの場合はフォロワーのタイムラインに流れて届く / ホームページの場合は名前や業種で検索した人が自分から訪れる
- 情報の寿命 — SNSの場合は数日で下へ流れて見つけにくくなる / ホームページの場合は置いた情報がその場所に残り続ける
- 場の持ち主 — SNSの場合は運営会社の規約の上で場所を借りている / ホームページの場合は自分が契約したドメインとサーバーの上にある
- 本物かどうかの確認 — SNSの場合は同じ屋号のアカウントが複数あり得る / ホームページの場合は独自ドメインが世界に1つなので確かめやすい
🔍 ここでいうドメインは「example.co.jp」のような名前のことです。住所にあたるのはIPアドレスという数字で、ドメインはその数字に付けた覚えやすい名前だと考えると分かりやすいと思います。
どちらが優れているという話ではありません。流れていく接点と、留まって確かめられる場所は、役割が違うだけだと思っています。
✅ どちらを先に用意するかの判断基準
開業直後にどちらを先に用意するかは、お客様が依頼や来店を決める前に確かめたい情報の量で判断するのが分かりやすいと思っています。料金や対応範囲など、確かめたい項目が多い事業ほど、小さくてもホームページを先に持つ意味が大きくなります。
私の見てきた範囲では、次のような点で優先順位が分かれやすいと感じています。
- 来店や依頼の前に確かめたい情報が多いか。料金の考え方、対応できる範囲、資格や経歴などを説明する必要がある事業は、ホームページ側を先に整えるほうが落ち着きます。
- 取引相手に法人が含まれるか。法人のご担当者は屋号で検索して、所在地や事業内容を確認してから連絡することが多いと聞きます。
- 毎日の様子そのものが売りになるか。作っている過程や日々の入荷を見せる事業では、SNSの比重が自然に上がります。それでも受け皿は必要です。
- 問い合わせや予約を記録として残したいか。フォームや予約の受付は、ホームページ側に置くと内容が手元に残ります。
- 名刺やチラシに載せるURLが要るか。開業の挨拶回りが先に始まるなら、短くても1ページは先に公開しておくと案内しやすくなります。
✅ 迷ったときは「お客様が最後に確かめたいことは何か」を一つ書き出してみてください。それがSNSの投稿では流れてしまう種類の情報なら、ホームページを先に用意する理由になります。
📝 低予算で始めて、後から育てる順番
低予算で始める場合は、最初から大きく作らず、1ページ分の基本情報を公開してから必要な項目を足していく進め方をおすすめしています。開業直後は提供内容が変わることも多く、先に作り込むと書き直しの手間が増えるためです。
- 最初のページに5点だけ載せます。屋号、何をしているか、場所(または対応エリア)、連絡先、営業の時間や受付方法です。この5点が揃っていれば、名刺やチラシの案内先として成り立ちます。
- 独自ドメインを自分の名義で取得します。年額の費用はドメインの種類で変わりますが、自分名義にしておくと、後で制作を誰に頼んでも持ち運べます。
- SNSのプロフィール欄に、そのドメインのURLを置きます。投稿は流れても、プロフィールは残り続けるためです。
- お知らせを自分で更新できる形にします。臨時休業や新メニューを自分で出せると、更新のたびに連絡する手間がなくなります。
- 反応が見えてきたら、よく聞かれた質問を1つずつページに足していきます。最初から全部を想像で書くより、実際に聞かれたことを書くほうが早く形になります。
💰 当社の場合は、初期費用50,000円と月額7,980円(いずれも税別・2026年10月時点)のワンプランで、最大10ページまで制作しています。相場として一般化できる金額ではありませんが、費用の考え方の一例として挙げておきます。
💡 両方持つときに手間を増やさない工夫
SNSとホームページを両方持つと更新の手間が二重になりがちなので、情報の置き場所を一か所に決めて、もう一方はそこへ案内する役割に絞るのが現実的だと思っています。開業直後は手が足りないため、運用の形を先に決めておくほうが続きます。
- 一次情報はホームページに置き、SNSには要点とリンクだけを書く。料金や営業時間を二か所で別々に直すと、どちらかが古いまま残りやすくなります。
- 更新の入口を一つにまとめる。当社の場合は、自社開発のCMS「UpNote」でLINEからお知らせを投稿できるようにしています。パソコンを開かなくても更新できる状態にしておくことを大切にしています。
- 問い合わせの受け口を集約する。SNSのメッセージ、電話、フォームが散らばると、開業直後の忙しい時期に見落としが起きます。通知の届き先を決めておくと安心です。
💡 もう一つ、作る側として気をつけているのがOGPという設定です。ホームページのURLをSNSに貼ったとき、タイトルと画像が入ったカードの形で表示される仕組みで、ページの中にその指定を書いておくことで成り立ちます。
ここが未設定だと、URLだけが文字で並び、何のページか分からないまま流れていきます。SNSとホームページをつなぐ部分なので、公開時には表示を実際に確認するようにしています。
もし、更新の入口や問い合わせの集約の部分で迷われていたら、草案を先にお見せする形でご相談だけでも承っています。
