ホームページ作り変えの公開前チェック—発注者が見るのは何か
制作側に任せきりにしない、公開前の確認項目と進め方
森啓亮(代表) / CRE-COMSENCE(クリコムセンス)

ホームページを作り変えて公開する前に、依頼した側が確認すべきことは大きく2つです。1つは電話番号・料金・営業時間など「情報が今も事実として正しいか」、もう1つはスマホでの表示や問い合わせフォームが「実際にちゃんと動くか」です。URLの設定や転送といった技術面は制作側の役割ですが、確認済みかどうかを質問し、記録に残しておくと安心だと思っています。
🔍 公開前のチェックは、誰が何を見るのか
ホームページの作り変えでは、公開前の確認を制作側と依頼した側で分担するのが現実的です。依頼した側が見るのは、載っている情報が事実として正しいかと、実際に使ってみて困らないかの2点です。表示設定や転送などの技術面は、制作側が確認し、その結果を報告してもらう形になります。
私の見てきた範囲では、公開前のやり取りが「確認お願いします」の一言で終わってしまうと、どちらも相手が見ていると思い込んだ箇所が残りやすいと感じています。
役割を分けて考えると、見落としが減ります。
- 文章や料金が事実として合っているか — 制作側の場合=誤字や表記のゆれには気づけますが、その金額やメニュー名が本当に現在のものかは判断できません / 依頼した側の場合=事実かどうかを判断できる唯一の立場です
- 写真を使ってよいかどうか — 制作側の場合=いただいた素材は使用許可があるものとして扱います / 依頼した側の場合=撮影者やメーカーとの取り決めを確認できるのは依頼側だけです
- スマホでの見え方 — 制作側の場合=代表的な画面幅で表示を確認します / 依頼した側の場合=普段お使いの実機で見ると、文字の大きさなど感覚的に気になる点が出てきます
- URLの設定や転送、サイトマップ — 制作側の場合=責任を持って設定します / 依頼した側の場合=設定の有無を聞き、記録に残すところまで
📝 つまり依頼側の役目は、技術を学ぶことではなく「事実の正しさ」と「使い勝手」を引き受けることだと思っています。
📝 依頼した側にしか確認できないことは何か
依頼した側にしか判断できないのは、「その情報が今も事実かどうか」です。制作側は誤字には気づけますが、電話番号が現在使われているか、料金が最新かまでは分かりません。古いサイトから引き継いだ文章ほど、事実が変わったまま残っていることがあります。
作り変えの現場では、古いサイトの文章をそのまま新しいデザインに流し込む場面がよくあります。デザインが新しくなると、中身まで新しくなったように見えてしまうのが難しいところです。
次の項目は、特に確認しておきたいところです。
- 電話番号とFAX番号。使っていない番号が残っていないか。
- 住所の表記。建物名や階数まで、現在のものになっているか。
- 営業時間と定休日。年末年始や、北海道であれば冬期の営業時間を分けて書く必要がないか。
- 料金とサービス名。値上げや名称変更の前の金額が残っていないか。
- 資格や許認可の番号、登録年。更新で番号が変わっていないか。
- 代表者名、設立年、沿革の年号。
- 写真に写り込んでいるお客様、他店の商品、スタッフの退職者。
⚠️ 特に見落としが多いのは、「〇周年」「新サービス」といった時期に関わる言葉です。数年前の記述が、新しいサイトでも現役の文章として見えてしまいます。
確認のコツは、画面上で読むより、一度印刷するか、PDFにして声に出して読むことです。デザインから目を離すと、文字の内容だけに集中できます。
✅ 公開前に自分の手で試す手順
公開前に依頼した側が自分の手で試すべきなのは、スマホでの表示、問い合わせフォームのテスト送信、電話番号や地図のタップ、リンクの行き先の4つです。この順で進めると、実際にお客様が困る場面をほぼ先回りして見つけられます。
- 自分のスマホで、トップページから順に全ページを開きます。パソコンの画面を小さくして確認するのと、実機で指で操作するのとでは、気づける点が違います。
- 問い合わせフォームから、実際にテスト送信します。届くかどうかだけでなく、迷惑メールフォルダに入っていないか、自動返信が届くかまで見てください。
- 電話番号をタップして、発信画面に正しい番号が出るか確かめます。地図のリンクも、実際の所在地に飛ぶか確認します。
- 各ページのリンクを一通り押して、行き止まりがないか見ます。「詳しくはこちら」の行き先が古いページのままになっていることがあります。
- 社内の別の人、できればサイトを作る打ち合わせに参加していない人に触ってもらいます。作っている側は内容を知っているぶん、初めて見る人がどこで迷うかに気づきにくいためです。
✅ テスト送信は、公開後にもう一度行うことをおすすめしています。公開前と公開後ではサーバーの環境が変わる場合があり、メールの届き方が変わることがあるためです。
なお、スマホの表示や操作画面は、機種やOSのバージョンによって見え方が変わります。気になる点は「自分の端末ではこう見えた」と伝えていただければ、こちらで再現して調べられます。
⚠️ 技術面は、どこまで確認してもらえば公開してよいか
技術面は、依頼した側が自分で確かめる必要はありません。ただし、下に挙げた項目を「確認済みか」と制作側に質問し、回答を記録に残しておくことをおすすめします。質問できる形で持っておくだけで、作り変え後のトラブルはかなり減ります。
- 全ページがhttpsで開き、httpでアクセスしても自動的にhttpsへ転送されること。SSLと呼ばれますが、現在使われている技術の正式名称はTLSです。通信の暗号化と、接続先が本物かの確認を担っています。
- URLの末尾に「/」が付くかどうかが、サイト全体で揃っていること。この表記がサイトマップや正規URLの指定と食い違うと、検索エンジンがどれを本来のページと見なすか判断しにくくなります。当社では公開時に必ず表記を揃えるようにしています。
- URLが変わるページに、旧URLから新URLへの転送(301リダイレクト)が設定されていること。名刺やチラシに印刷済みのURLが生きるかどうかにも関わります。
- XMLサイトマップ(ページ一覧を検索エンジンに伝えるファイル)が用意され、Google Search Consoleに登録されていること。
- 求人情報を載せる場合、構造化データの必須項目が欠けていないこと。1つ欠けるだけで求人検索に表示されないため、公開後にGoogleのリッチリザルトテストで確認しています。
- 公開前の確認用サイトが検索エンジンに拾われない設定になっており、公開時にその設定が外れていること。
⚠️ これらを整えても、検索順位がどうなるかを保証できるものではありません。あくまで、検索エンジンが内容を正しく読み取れる状態にするための土台です(2026年10月時点の一般的な作法として記載しています)。
