建設業のホームページ作り変え、取引先向けと求人向けどちらを優先するか
見る人が二手に分かれるサイトの、優先順位の決め方
森啓亮(代表) / CRE-COMSENCE(クリコムセンス)

建設業のホームページを作り変えるときは、技術者や作業員の採用に困っている会社なら求人向け、民間案件や新しい取引先を増やしたい会社なら取引先向けを先に整えるのが現実的だと考えています。建設業のサイトは、取引先の担当者と求職者という性格の違う二者が見に来るため、両方を同時に作り込もうとすると情報が集まらず止まりがちです。入口を分けておけば、後から片方を足すことができます。
🔍 取引先向けと求人向け、どちらを先に整えるか
建設業のホームページを作り変えるとき、技術者や作業員の採用に困っている会社は求人向けを、民間の元請案件や新しい取引先を増やしたい会社は取引先向けを先に整えるのが現実的だと考えています。両方を同時に作り込むより、今いちばん人手や時間を取られている課題のほうから手を付けるほうが、作り変えの効果を実感しやすいからです。
建設業のホームページは、工務店や小売店のサイトと見られ方が少し違うと感じています。一般の消費者が比較して選ぶというより、すでに社名を知っている相手が「この会社はどういう会社か」を確かめに来る場面が多いためです。
取引先の担当者は、照会や発注の前に会社概要と実績を見ます。求職者やその家族は、応募していいかどうかを判断するために見ます。
🔍 どちらを優先するかは、この半年から一年で会社が困っていることで決まります。現場を回す人が足りないなら求人向け、受注の幅を広げたいなら取引先向けです。
両方必要だと感じる場合でも、同時に完璧にしようとすると、情報を集める段階で止まってしまうことがあります。先に片方を整え、もう片方は枠だけ用意しておく進め方のほうが、公開までたどり着きやすいと思っています。
なお、2026年10月時点では、求人情報をGoogleの検索結果に求人として表示させる仕組み(Googleしごと検索)が使えます。求人向けを優先する場合は、この仕組みに対応できる作りにしておくと後が楽になります。
✅ 優先順位を決める判断材料
優先順位は、今の会社の困りごとと、問い合わせが来ている経路の二つで判断できます。求人の応募が集まらない、採用面接で会社について質問されることが多いという会社は求人向け、名刺交換や紹介の後に検索されている実感がある会社は取引先向けが先です。
判断に迷ったときは、次の観点で見ていただくと整理しやすいと思います。
- 求人を優先する目安 — ハローワークや求人サイトに出しても応募が来ない、または応募前に「会社のサイトを見た」と言われることが増えている。
- 求人を優先する目安 — 若手や有資格者を採りたい。応募者本人だけでなく、家族が会社名で検索する可能性が高い。
- 取引先向けを優先する目安 — 公共工事の比率が高く、民間工事や直請けを増やしたい。
- 取引先向けを優先する目安 — 名刺を渡した後に検索されることが多く、今のサイトに実績や対応工種が載っていない。
- 取引先向けを優先する目安 — 協力会社として登録申請する際、会社概要の提出を求められる機会が増えた。
⚠️ どちらにも当てはまらない場合は、会社概要・対応工種・連絡先という共通の土台だけを先に作り直すことをおすすめしています。土台はどちらの読み手にも使われる部分なので、後から積み増しやすいからです。
📋 取引先向けに載せ直す情報はどれか
取引先向けに作り変えるなら、対応できる工種、施工エリア、施工実績、保有資格と技術者数、建設業許可の番号、安全衛生の取り組み、この6点を1ページで確認できる状態にすることを優先しています。相手が社内で稟議や照会に使う情報だからです。
取引先が見ているのは、デザインの新しさよりも「頼んで問題ないか」を裏付ける事実です。次のような情報が揃っているかを確認してみてください。
- 対応できる工種の一覧 — 土木、外構、解体、設備など、自社で請けられる範囲を具体的に書く。曖昧な「各種工事」だけだと照会に使えません。
- 施工エリア — 市町村名まで書くと、遠方からの対象外の問い合わせが減ります。
- 施工実績 — 工種・規模・工期の程度が分かる形で数件。写真は掲載許可が取れたものだけにします。
- 保有資格と技術者数 — 監理技術者や各種施工管理技士など、人数だけでも信頼材料になります。
- 建設業許可の番号と許可業種 — 更新で内容が変わったときに直せる場所に置いておきます。
- 安全衛生の取り組み — 安全大会やKY活動など、継続していることを一行でも書く。
- 会社沿革と資本金、取引銀行 — 協力会社登録の審査で参照されることがあります。
📝 当社では、これらをまとめた会社案内PDFをサイトからダウンロードできるようにすることが多いです。先方の社内で回覧されるときに、紙と同じ形で渡せるほうが扱いやすいためです。
🔧 求人向けに作り変えるときの進め方
求人向けに作り変えるなら、募集要項を職種ごとに分け、給与・勤務時間・休日・勤務地を具体的な数字で書くことから始めます。その上で、求人ページに構造化データという検索エンジン向けの記述を入れておくと、Googleしごと検索の対象になります。
求人向けに作り変える場合は、次の順番で進めると漏れが出にくいと思います。
- 募集職種ごとにページを分ける。施工管理と作業員では読む人も知りたいことも違うため、1ページにまとめると両方ぼやけます。
- 給与・勤務時間・休日・勤務地を具体的に書く。「応相談」が並ぶと、応募前の比較の段階で外れやすくなります。
- 未経験者を採りたいなら、入社後1年でどんな現場に入るかを書く。経験者を採りたいなら、使っている重機や施工する工種を書く。
- 働いている人の写真と一言を載せる。顔出しが難しければ、後ろ姿や手元の写真に社員のコメントを添える形でも伝わります。
- 求人ページに構造化データ(検索エンジンに求人情報だと伝えるための記述)を入れる。これがGoogleしごと検索への掲載条件になります。
⚠️ 当社が実務で気をつけているのは、この構造化データの必須項目です。項目が1つ欠けるだけで求人として表示されないため、公開後にGoogleのリッチリザルトテストという確認ツールで必ず検証しています。掲載されるかどうかは最終的にGoogle側の判断なので、保証はできません。
🏗️ 両方を1つのサイトで成り立たせるには
取引先向けと求人向けは、トップページで入口を二つに分け、それぞれの専用ページへ進んでもらう形にすれば1つのサイトで両立できます。優先しなかったほうは、後から追加できるように入口と枠だけ先に用意しておくのが現実的です。
例えば、トップページの上部に「協力会社・発注をお考えの方へ」と「採用情報」の二つの入口を並べて置く形です。
来た人が最初の画面で自分の行き先を選べれば、その先は情報を分けて書けます。会社概要や安全への取り組みは共通で使えるので、二重に作る必要はありません。
もう一つ大事なのは、作り変えた後に更新が続くかどうかです。建設業は現場が最優先なので、事務所に戻ってパソコンを開く時間が取りにくいという話をよく伺います。
📝 当社のホームページには自社開発のCMS「UpNote」を標準で載せていて、LINEからお知らせを投稿できるようにしています。現場で撮った写真をその場で送って、施工実績や近況として残していく使い方を想定して作りました。
更新の仕組みまで含めて設計しておくと、一年後に「前のサイトと同じで止まっている」という状態になりにくいと思っています。作り変えのご相談があれば、先に草案をお作りしてお見せしていますので、見比べてから判断していただけます。
