業種別のホームページ宿泊業

民宿のホームページ作り変え—予約サイトに書けない情報は何か

送迎や冬季休業など、宿の事情を自分の言葉で伝えるために

森啓亮(代表) / CRE-COMSENCE(クリコムセンス)

民宿やペンションのホームページを作り変えるときは、予約サイトの入力欄に収まりきらない情報を自社サイトに集めるのが中心になります。具体的には、送迎の条件、チェックイン時刻の実際の運用、食事やアレルギーの相談範囲、冬季の営業と道路の状況、支払い方法です。予約サイトは条件で絞り込む場所、自社サイトは最後に確かめる場所、と役割を分けて考えると迷いにくくなります。

🏠 予約サイトと自社サイト、何が違うのか

予約サイトは、日付や料金で宿を絞り込むための場所です。これに対して自社サイトは、候補をいくつかに絞った人が「この宿で本当に大丈夫か」を確かめる場所になります。民宿やペンションのホームページを作り変えるときは、後者の役割に寄せて内容を組み直すのが現実的だと考えています。

項目ごとに、役割の違いを並べてみます。

  • たどり着き方 — 予約サイトの場合は、日付と人数と予算で絞り込まれた一覧の中に表示される / 自社サイトの場合は、宿の名前や地名で検索した人が直接訪れる
  • 情報の形 — 予約サイトの場合は、あらかじめ決められた入力項目に収める必要がある / 自社サイトの場合は、項目の制約がなく、文章や写真の順番も自由に決められる
  • 読まれる場面 — 予約サイトの場合は、他の宿と見比べている最中 / 自社サイトの場合は、ある程度候補が絞られ、「ここで大丈夫か」を確かめている最中
  • 更新のしやすさ — 予約サイトの場合は、管理画面が用意している欄の範囲で直す / 自社サイトの場合は、お知らせ欄などを使って、その日の状況まで書き足せる

📝 作り変えのときに迷いやすいのは、予約サイトに書いた紹介文をそのまま自社サイトにも貼ってしまうことです。

同じ文章が二か所にあっても、読む人にとっては新しい情報が増えません。自社サイトは「予約サイトの欄に収まらなかった話」を置く場所だと考えると、書くことが決めやすくなると思っています。

📝 自社サイトに書き直したい情報はどれか

自社サイトに書き直したいのは、予約サイトの入力欄に収まりきらない「運用のこまかい話」です。具体的には、チェックイン時刻の実際の融通、送迎の条件、食事の相談範囲、浴室や共用部の使い方、駐車場と冬の道の状況、支払い方法の6つが中心になります。

  • チェックインとチェックアウトの実際 — 最終のチェックイン時刻だけでなく、遅くなるときにどう連絡すればよいかまで書いておくと、到着が遅れそうな人の不安が減ります。
  • 送迎の条件 — 駅やバス停からの送迎がある場合、対応できる時間帯、人数、何日前までの連絡が必要かを具体的に書きます。ここは予約サイトの欄に収まりきらないことが多い部分です。
  • 食事の中身と相談できる範囲 — 夕食の形式(部屋出しか食堂か)、アレルギーや苦手な食材の相談がいつまで可能かを書いておくと、問い合わせの往復が減ります。
  • 浴室や共用部の使い方 — 風呂が時間交代制か、タオルや浴衣が付くか、共用の冷蔵庫や洗濯機が使えるかなど、暮らすように泊まる宿ほど効いてきます。
  • 車と道のこと — 駐車場の台数と大きさ、冬季の路面状況や除雪の有無、カーナビで出にくい場所なら目印になる建物も添えます。
  • 支払いの方法 — 現地払いか事前払いか、使えるキャッシュレス決済の種類は、到着前にいちばん確認されやすい項目のひとつです。

⚠️ 旅館業の営業許可や、住宅宿泊事業(いわゆる民泊)の届出に関する表示は、営業の形態によってルールが異なります。掲示や表示の要否は保健所など行政の窓口で確認し、最終的な判断は専門家に相談してください。

❄️ 冬季休業や臨時の連絡は、どう更新できる形にするか

季節で変わる営業情報は、本文の中に埋め込むのではなく、更新できる場所に分けて置くのが基本です。民宿やペンションの作り変えでは、営業期間・冬季休業・最終チェックイン時刻・送迎の可否を、スマホから直せる形にしておくと運用が続きます。

  1. 季節で変わる情報を一か所に集めます。営業期間、冬季休業、最終チェックイン時刻、送迎の可否など、年に何度か書き換わる項目を同じページにまとめておくと、直し忘れが起きにくくなります。
  2. トップページに「お知らせ」の枠を置きます。大雪で道路が通行止めになったとき、臨時休業や送迎の見合わせをその日のうちに出せる場所があると、電話での問い合わせが減ります。
  3. スマホから更新できる手段を用意します。宿の仕事は昼間にパソコンの前に座れないことが多いため、手元の端末から投稿できるかどうかが、更新が続くかどうかを分けます。
  4. 更新した日付を表示します。「2025年の冬の案内」が残っているサイトは、読む人がどの情報を信じてよいか分からなくなります。日付が出ていれば、古さがその場で伝わります。
  5. 予約サイト側の記載と、どちらを正にするか決めます。二か所に同じ情報を書くと必ずずれるので、細かい条件は自社サイトを正とし、予約サイトからはそこを見てもらう形が管理しやすいと思っています。

❄️ 当社の場合は、標準搭載しているCMS「UpNote」でLINEからお知らせを投稿できるようにしています(2026年10月時点)。雪の朝に、事務所に戻らず一報を出せる形を想定したものです。

📷 写真と問い合わせの受け口は、どこまで用意するか

写真は枚数より「宿泊する人が確かめたい場所が写っているか」で選びます。問い合わせの受け口は、電話・フォーム・予約サイトへのリンクの三つに絞り、それぞれどんなときに使うものかを一言添えておくと、宿側も対応しやすくなります。

  • 部屋の写真は、入口から見た全景を1枚入れる — 広角で撮ると実際より広く見えることがあるため、畳数や定員を文章で添えて、写真と言葉の両方で伝えるようにしています。
  • 水回りは隠さずに載せる — 洗面所やトイレが共用かどうかは、予約前にいちばん気にされる点のひとつです。古さがあっても、清掃の状況が分かる写真のほうが結果的に安心につながります。
  • 外観は夏と冬の両方を載せる — 雪に埋もれた駐車場の様子が分かると、冬に車で来る人が準備できます。季節の違う写真が並ぶこと自体が、通年で運用している宿だという印象にもなります。
  • 写真は撮ったままの大きさで載せない — スマホの写真は1枚あたりの容量が大きく、そのまま並べるとページの表示に時間がかかります。制作側で縮小と形式変換をしてから載せるのが前提だと考えています。
  • 問い合わせの受け口は三つまでに絞る — 電話、フォーム、予約サイトへのリンク。これ以上増やすと、見る人がどれを使えばよいか迷い、宿側も確認先が増えてしまいます。
  • フォームでは聞く項目を絞る — 希望日、人数、連絡先、相談内容の4つがあれば、折り返しの電話やメールで詰められます。

🔍 作り変えの相談をいただいたときは、先にサイトの草案をお作りして、写真の並べ方も含めて見ていただいています。制作実績のページで実際の例をご覧いただけます。

よくある質問

Q.冬の休業期間中、ホームページは閉じておいたほうがよいですか?
A. 冬の休業中もホームページは公開したままにして、トップに休業期間と再開予定、問い合わせ先を書いておく形をおすすめしています。サイトを閉じてしまうと、翌シーズンに検索した人が「廃業した宿」と受け取ってしまうことがあります。当社の場合、月額の中にホスティングとSSLが含まれるため、休業中だけ止めても費用の節約にはつながりません。
Q.海外からの予約が入る宿でも、英語のページまで作るべきでしょうか?
A. 海外からの問い合わせが実際にある宿なら、全ページの翻訳ではなく「アクセス・チェックイン時間・食事・決済方法」だけを1枚の英語ページにまとめる形が現実的だと思っています。自動翻訳に任せると、送迎の条件や料金のような誤解されると困る部分がずれることがあります。まず1ページ作り、問い合わせの内容を見てから増やす進め方が無理がありません。
Q.客室が数部屋しかない宿でも、自社サイトに空室カレンダーは必要ですか?
A. 部屋数が少ない宿では、自社サイトに自動の空室カレンダーを置くより、「空室は電話かメールでお問い合わせください」と書くほうが運用が続きやすい場合があります。カレンダーは予約サイトと二重管理になり、更新漏れがそのまま苦情につながるためです。予約サイト側の在庫と連動できる仕組みがある場合に限り、自社サイトへの掲載を検討するのがよいと考えています。
Q.自社サイトの宿泊料金を、予約サイトより安く表示してもよいのでしょうか?
A. 予約サイトと自社サイトで料金や特典に差をつけられるかは、予約サイトとの契約条件によって異なります。契約書に料金や在庫の扱いについての取り決めがある場合があるため、作り変えの前に必ず確認してください。差をつけない場合でも、送迎や連泊の相談など「電話で直接決められること」を自社サイトに書くだけで、直接の問い合わせは受け取りやすくなります。