業種別のホームページ農業

農家の直売開業、ホームページの注文の受け口はどれを選ぶか

収穫期でも回る受付方法の選び方と、季節変動への備え

森啓亮(代表) / CRE-COMSENCE(クリコムセンス)

農家が直売を始めるときの注文の受け口は、「代金をどう受け取るか」と「在庫を自動で止められるか」で選ぶと決まりやすいです。発送中心で道外にも売るならネットショップ型、常連さんへの受け渡しが中心なら問い合わせフォームやLINEでの受付が扱いやすいと考えています。収穫期は手が回らなくなるため、最初から全部を揃えず、1つに絞って始めるほうが続きます。

🛒 直売の注文の受け口には、どんな選択肢があるか

農産物の直売で使われる注文の受け口は、電話、問い合わせフォーム、LINE、ネットショップの4つに大きく分かれます。違いは主に「代金をいつ・どう受け取るか」と「在庫の増減を自動で止められるか」の2点で、ここを押さえると選びやすくなります。

  • 代金の受け取り — 電話・フォーム・LINEの場合は、後から振込や代引きで個別にやりとりします / ネットショップの場合は、注文と同時にカード決済などで支払いまで完結します。
  • 在庫の扱い — 電話・フォーム・LINEの場合は、残量を自分で把握して都度お返事します / ネットショップの場合は、在庫数を設定しておけば売り切れ時に自動で受付が止まります。
  • 手間のかかり方 — 電話・LINEの場合は、一件ごとのやりとりは早い反面、収穫中に着信が重なります / ネットショップの場合は、最初の設定に時間がかかる代わりに、夜間でも注文が溜まります。
  • お客様の層 — 電話・LINEの場合は、毎年買ってくださる常連の方と相性がよいです / ネットショップの場合は、道外の方や初めての方が頼みやすい形です。
  • 費用の性質 — 決済を伴う仕組みの場合は、売上に応じた手数料が発生するのが一般的です / フォームや電話の場合は、その手数料はかかりませんが、入金確認の作業が自分の手元に残ります。

📝 どれが優れているという話ではなく、代金をどう受け取りたいかで決まる部分が大きいと感じています。

なお当社の場合は、2026年10月時点で月額にネット予約受付や問い合わせ受信箱を含めていますが、決済そのものは別のサービスを組み合わせる形になります。

✅ 自分の売り方に合う受け口は、どう選べばよいか

受け口を選ぶときは、好みではなく「自分が収穫期に対応できる条件」から逆算するのが確実です。農家の直売では、次の5つを順に当てはめると、無理のない方法が1つに絞られていきます。

  • 1日に受けられる件数が読めるか。梱包と発送まで自分でこなす場合、注文が一気に入ると手が回りません。受付件数を区切れる仕組みかどうかを見てください。
  • 発送が中心か、畑や直売所での受け渡しが中心か。受け渡しが中心なら、決済まで自動化するより、日時のやりとりができるフォームやLINEのほうが扱いやすいことがあります。
  • お客様の多くが電話を使う方か、スマートフォンで注文する方か。既存のお客様の顔が浮かぶなら、その方が使う手段を最優先にしてよいと思っています。
  • 収穫期に電話へ出られるか。畑にいる時間が長い場合、着信を取りこぼすより、フォームやLINEで後からまとめて返すほうが現実的です。
  • 市場出荷が主で、直売は一部か。その場合は最初からネットショップを構えるより、問い合わせフォームで様子を見て、必要になってから販売機能を足す進め方がおすすめです。

⚠️ 複数の受け口を同時に並べると、在庫の数え方が二重になり、欠品の連絡が追いつかなくなります。最初は主役を1つに決め、補助をもう1つまでにとどめるのが安全だと考えています。

🌱 収穫量や季節が変わる前提で、何をどこに書くか

収穫量や販売時期が年ごとに変わる農業では、ホームページに「確定した情報」を書き込みすぎないほうが運用が続きます。変わらない情報は固定ページに、変わる情報はお知らせ欄に分けて置くのが基本です。

  • 収穫カレンダーを固定のページに置く。品目ごとに「おおよそ◯月から◯月」と幅で書いておけば、年ごとに書き直す手間が減ります。
  • 今年の状況は、お知らせ欄で短く更新する。「今年は生育が遅れ、販売開始は◯月中旬ごろの見込みです」の一行が、問い合わせの電話を減らしてくれます。
  • 販売終了と再開の表記を決めておく。北海道では冬の間に出荷が止まる品目が多く、何も書かないと「やめてしまったのか」と受け取られることがあります。
  • 写真は収穫物だけでなく、圃場や作業の様子も載せる。直売では、誰がどう育てているかが選ぶ理由になりやすいためです。
  • 栽培方法や表示に関わる文言は、認証機関や行政の窓口で確認してから載せる。制度は改正されることがあるので、最終判断は専門家に委ねるのが確実です。

🌱 更新が止まるのは意思の問題ではなく、繁忙期の構造の問題です。私は、畑からスマートフォンで一行だけ投稿できる形にしておくことを大切にしていて、自社のCMSでもLINEからお知らせを投稿できるようにしています。

📝 開業前に決めておきたい、注文まわりの運用ルール

受け口を決めたら、開業前に注文の運用ルールを文章にしておくことをおすすめします。農産物は欠品と鮮度の問題が避けられないため、次の順で決めておくと、販売が始まってから慌てずに済みます。

  1. 受付の期間と締切を決める。「毎週◯曜日の正午までの注文を、翌日に発送」のように枠を作ると、収穫と発送の予定が崩れにくくなります。
  2. 送料とクール便の扱いを決める。地域別にするか一律にするか、クール便をいつから使うかを先に決め、ページに明記しておきます。
  3. 欠品したときの連絡方法と代替案を決める。「同等の品目に差し替え」か「キャンセル」かを選べる形にしておくと、天候の影響が出た年も対応できます。
  4. 鮮度トラブルの窓口を決める。到着後◯日以内に写真を添えて連絡、といった受付の形をあらかじめ書いておくと、双方が困りません。
  5. 通知を受け取る人と端末を決める。注文がメールだけに届く設定だと、繁忙期に気づけないことがあります。スマートフォンに届く形を用意してください。
  6. 開業前に、自分で一度注文してみる。入力から受信までを通して試すと、分かりにくい項目が見つかります。

💡 開業時の制作費については、小規模事業者持続化補助金などを使える場合があります。補助率や上限、締切は年度で変わるため、最新の公募要領を中小企業庁や商工会議所・商工会の案内で確認してください。

受け口の形や運用の決め方で迷われている場合は、制作実績ページで実際の作り方の例をご覧いただけます。

よくある質問

Q.道の駅や直売所に出している分も、ホームページに書いてよいですか?
A. 道の駅や直売所に出荷している場合は、その情報をホームページに書いておくと、お客様が近い受け取り方を選べます。ただし出荷量や販売の有無は施設側の都合で変わるため、「◯曜日に出荷していることが多いです」のような幅を持たせた書き方が安全だと思っています。確実な在庫を約束する表現は、問い合わせ対応の負担になりやすいです。
Q.ネットショップのサービスを使っていても、ホームページは別に必要ですか?
A. ネットショップのサービスだけで販売は成り立ちますが、ホームページは栽培の考え方や圃場の様子、直売所での販売など、商品ページに収まらない情報を置く場所になります。私は、注文機能はネットショップ、農園そのものの説明はホームページ、と役割を分ける形をよく提案しています。両方を持つ場合は、どちらからでも行き来できるリンクを必ず置いてください。
Q.栽培方法や農薬についての表示は、どこまで書いてよいのでしょうか?
A. 栽培方法や農薬の使用、有機などの表示は、関係する法令や認証の基準で書ける範囲が決まっています。制度は改正されることがあるため、最終的な表現は認証機関や行政の窓口で確認するのが確実です。確認が済むまでは「農薬の使用回数を減らす栽培に取り組んでいます」のような、事実として説明できる範囲にとどめるのが無難だと思います。
Q.発送を受ける場合、ホームページに最低限書くべき案内は何ですか?
A. 発送の案内で欠かせないのは、送料の決まり方、クール便の有無、発送までの日数、受け取れない場合の扱いの4点です。農産物は鮮度の影響を受けるため、長期不在での再配達が難しいことを先に書いておくと、トラブルが減ります。北海道から道外へ送る場合は、日数が一日多くかかる地域がある点も添えておくと親切です。