送ったメールが相手の迷惑メールに入るのはなぜか—確認の手順
差出人を証明する仕組みと、今日からできる確認
森啓亮(代表) / CRE-COMSENCE(クリコムセンス)

送ったメールが相手の迷惑メールフォルダに入る大きな理由は、文面が怪しいからではなく、受信側のサーバーが「このメールは本当にそのドメインの持ち主が送ったのか」を確認できないことにあります。メールの差出人欄は書き換えられる仕様のため、受信側はSPFやDKIMといった送信元を証明する設定を手がかりに判断しています。設定が整っていないと、誠実な内容でも隔離されることがあります。
📮 なぜ正しく送ったメールが迷惑メール扱いになるのか
送ったメールが相手の迷惑メールフォルダに入る主な理由は、文面の問題というより、受信側のサーバーが「このメールは本当にそのドメインの持ち主が送ったのか」を確認できないことにあります。迷惑メールの判定は、送信元の正しさ・送信元の評判・内容の特徴を合わせて行われています。
メールの差出人欄は、郵便の封筒に書く差出人と同じで、送る側が自由に文字を書ける場所です。
技術的にも、表示される差出人(Fromヘッダー)は送信時に書き換えられる仕様になっています。
そのため受信側のサーバーは、差出人欄の文字だけでは本物かどうかを判断できません。
代わりに、どのサーバーから届いたか、そのドメインの持ち主がそのサーバーを認めているか、過去に同じ送信元から迷惑メールが出ていないか、本文に不審な特徴がないかなどを総合して点数を付けています。
🔍 つまり、文面を丁寧に書いても、送信元の正しさを示す設定が欠けていれば不利になることがある、ということです。
私が設定を見せていただくと、ドメインは独自のものなのに、実際の送信はまったく別のサーバーから行われていて、その組み合わせが宣言されていない、という状態が珍しくありません。
🔐 差出人が本物だと示す仕組みとは何か
メールの差出人が本物であることを示す仕組みは、送信ドメイン認証と呼ばれ、代表的なものにSPF・DKIM・DMARCの三つがあります。いずれもドメインの設定として行うもので、メールの書き方を変えるものではありません。
SPF(エスピーエフ)は、そのドメインのメールをどのサーバーから送ってよいかを、DNSという名前の情報を公開する仕組みに書いておく方法です。
受信側は、実際に届いたサーバーがその一覧に含まれているかを照合します。
DKIM(ディーキム)は、送信時にメールへ電子署名を付け、受信側が公開されている鍵でその署名を検証する方法です。
署名を確かめることで、途中で差出人や本文が書き換えられていないかも判断できます。
DMARC(ディーマーク)は、SPFとDKIMの結果と、表示される差出人のドメインが一致しているかを見て、認証に失敗したメールをどう扱ってほしいかを送信側が宣言しておく仕組みです。
💡 三つとも、設定するのはメール本文ではなく、ドメインの情報を公開する側です。サーバー会社や制作会社の管理画面から追加するのが一般的です。
⚠️ 迷惑メール扱いされやすいのはどんな送り方か
迷惑メール扱いされやすいかどうかは、次のような点で見分けられます。特に問い合わせフォームからの自動送信は、差出人の設定を誤ると、誠実な内容でも機械的に弾かれやすくなります。
- 差出人のドメインと、実際に送信しているサーバーの組み合わせが宣言されていない場合。レンタルサーバーを移したときや、外部の配信サービスを使い始めたときに起こりがちです。
- 問い合わせフォームの自動返信で、差出人を入力者のアドレスにしている場合。他人のドメインを名乗る形になり、なりすましと判定されやすくなります。
- 一斉送信を通常のメールソフトで大量に送っている場合。短時間に同じ文面が多数届くと、受信側の評価が下がることがあります。
- 存在しない宛先に送り続けている場合。エラーで返るメールが多いと、送信元としての評判が落ちます。
- 本文がほぼ画像だけ、短縮URLだけ、といった構成の場合。内容を判断しにくく、不審な特徴として扱われやすくなります。
⚠️ どれも「悪意がないか」ではなく「機械的に確かめられるか」で見られている点が、分かりにくいところだと思っています。
✅ 自社のメールが届いているかを確かめる手順
自社のメールが届いているかは、別のメールサービス宛にテスト送信し、受信側でヘッダー(メールの配達記録)を確認する方法で、おおよそ把握できます。以下の順で進めると、設定の過不足が見えてきます。
- 自社のアドレスから、普段使っていない別系統のメールアドレス宛にテスト送信します。受信トレイか迷惑メールフォルダか、どちらに入るかを確認します。
- 届いたメールで「メッセージのソースを表示」などの項目を開き、SPFやDKIMの結果が記録されているかを見ます。表示名や場所はサービスやバージョンによって変わります。
- 同じ確認を、ホームページの問い合わせフォームの自動返信と、管理者宛の通知メールでも行います。人が書くメールより、こちらのほうが落ちやすい傾向があります。
- 設定が足りない場合は、ドメインとサーバーを管理している会社か制作会社に、SPFとDKIMの追加を依頼します。自分で触ると既存の設定を上書きしてしまうことがあるため、依頼する形が安全です。
- DMARCを入れる場合は、まず様子を見る設定から始めます。いきなり厳しい扱いを宣言すると、必要なメールまで止まることがあります。
🏠 会社・お店として気をつけること
会社やお店としては、メールが届かない前提で受け口を二重にしておくことが、いちばん実務的な備えだと考えています。特にホームページの問い合わせ通知は、届かないこと自体に気づきにくく、商談の機会をそのまま失ってしまいます。
- 問い合わせの通知はメール一本に頼らない。管理画面の受信箱など、サーバーを経由せず残る場所を併用すると取りこぼしに気づけます。当社の場合は、自社開発のCMSに問い合わせの受信箱を持たせ、メールとLINEの両方に通知を出す形にしています。
- ホームページを作り変えたり、サーバーを移したりしたときは、メールの認証設定も移っているかを確認する。見た目は問題なく公開できていても、メールだけ静かに届かなくなることがあります。
- 大切な連絡は、送って終わりにしない。数日返事がないときは電話など別の手段で確認する前提にしておくと、商談の取りこぼしが減ります。
- 従業員の方にも、自分の迷惑メールフォルダを週に一度は見る習慣を共有する。お客様からの返信がそこに入っていることがあります。
📝 ホームページのお問い合わせが届いているか気になる場合は、フォームのテスト送信から一緒に確認できますので、お気軽にご相談ください。


