アップデート通知が何度も来るのはなぜか—しないとどうなる
仕事を止めずに更新する順番と、偽の警告の見分け方
森啓亮(代表) / CRE-COMSENCE(クリコムセンス)

スマホやパソコンのアップデート通知の多くは、新機能の案内ではなく、ソフトの中に見つかった弱点(脆弱性)を直した部品に入れ替える作業の案内です。弱点は公開後も次々見つかるため、通知は繰り返し届きます。更新しないと、修正済みの弱点を突かれやすくなるほか、業務アプリが起動しない、銀行や予約サイトが開かないといった不便が先に出ることがあります。営業時間外にまとめて当てる段取りを決めておくと負担が減ります。
🔄 アップデート通知は何を知らせているのか
スマホやパソコンに届くアップデート通知の多くは、新機能の案内ではなく、ソフトの中に見つかった弱点(脆弱性)を直した部品への入れ替えを知らせるものです。弱点は公開後も次々と見つかるため、その都度修正が配られ、通知が繰り返し届きます。
更新には大きく二種類あります。ひとつは機能やデザインを変えるもの、もうひとつは脆弱性を直すものです。
脆弱性とは、ソフトの作り方の中に見つかった「想定していなかった抜け道」のことです。鍵を閉めたつもりの窓に、別の開け方が見つかったような状態だと考えると近いと思います。
ソフトは何万行ものプログラムでできていて、公開後に抜け道が見つかること自体は避けられません。見つかるたびに修正版が配られるので、通知も繰り返し届きます。
🔍 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)も、OSやソフトを最新の状態に保つことを基本的な対策として継続的に呼びかけています。
これは手元の端末だけの話ではありません。私がサーバー側を触るときも、土台のソフトに同じ理屈で修正が配られます。作る側は、その修正を当てる前提で設計します。
⚠️ 更新を先延ばしにすると、実際に何が起きるのか
更新を数日遅らせたからといって、すぐに被害が出るわけではありません。ただし修正が公開された弱点は攻撃側にも知られるため、更新していない端末ほど狙われやすくなるとされています。加えて、業務アプリやサイトが開けなくなるといった実務上の不便が先に出ることも多いです。
- 弱点は、修正が配られるタイミングで公表されることがあります。つまり「直し方」と「抜け道の場所」が同時に世に出るため、更新していない端末のほうが狙われやすくなるとされています。
- 業務で使うアプリが起動しなくなる、ログインできなくなることがあります。アプリ側が新しいOSを前提に作り替えられるためです。
- 銀行や予約サイトが表示されなくなることがあります。サイトとの通信を暗号化する仕組み(SSL、正式にはTLSといいます)は新しい方式へ移っていて、古いブラウザが対応できない場合があるためです。
- 写真や文字の表示が崩れることがあります。新しい画像形式や文字に古い端末が対応していないときに起こります。
⚠️ すぐに何かが起きるわけではありません。ただ、更新していない期間が長いほど、こうした「ある日突然つながらない」に当たる確率が上がる、という程度の話だと受け止めていただければと思います。
📅 仕事を止めずに更新するには、いつ何をすればよいか
業務用の端末は、営業時間外か定休日の前にまとめて更新するのが現実的です。更新前にデータの控えを取り、充電しながらWi‑Fiで行い、終わったら業務で使うアプリを一通り開いて確認する。この順番を決めておくと、営業中に操作できなくなる事態を避けやすくなります。
- 更新する時間をあらかじめ決めます。営業時間外か、定休日の前日の夜が落ち着いて進められると思います。
- 先に控えを取ります。写真、連絡先、会計データなど、端末の中にしかないものをクラウドや別のパソコンへ移しておきます。
- 充電器につなぎ、Wi‑Fiに接続します。更新データは大きいことが多く、携帯回線だと通信量を使います。
- OSを先に、次にアプリの順で当てます。アプリはOSの新しさを前提に作られているため、この順番のほうが不具合が出にくいと感じています。
- 終わったら、レジ・予約・会計・カード決済など業務で使うアプリを一通り開いて動作を確かめます。
📅 設定画面の名前や表示は、機種やOSの版によって変わります。見当たらないときは「設定」の中の検索欄で「ソフトウェア更新」と調べると見つかりやすいです。
🔒 本物の更新案内と、偽の警告はどう見分けるか
本物の更新案内は、端末の「設定」画面やアプリストアの中に表示されます。一方、Webページを見ている最中に突然現れる警告や、電話番号・カウントダウンが出るものは、更新を装った偽の画面と考えてまず差し支えありません。
- 出た場所で見分けます。本物は「設定」アプリの中や、アプリストアの更新一覧に静かに表示されます。Webページを見ている最中に画面いっぱいで出るものは、本物の更新案内ではありません。
- 急がせ方で見分けます。警告音、カウントダウン、「ウイルスが検出されました」「サポートに電話してください」といった表示は、慌てさせるための演出であることが多いです。
- 連絡先の有無で見分けます。本物の更新で、電話番号に掛けるよう求められることはありません。
- インストールを求める相手で見分けます。リンクから入手させようとするものは避け、必要なソフトは公式の配布元から入れます。
🔒 迷ったときは、その画面を閉じて、自分で設定画面やアプリストアを開き直してください。そこに更新が出ていなければ、更新は不要です。フィッシング対策協議会やIPAが、こうした偽の警告について注意喚起を出しています。
🏠 会社・お店として気をつけること
会社やお店では、個人の端末以上に「誰が更新するか決まっていない端末」が残りがちです。共用パソコンや店頭のタブレットの担当を決めること、そしてホームページ側の土台(サーバーやCMS)の更新を誰が見ているかを契約で確かめておくことの二つが、まず押さえたい点だと思っています。
- どの端末を誰が使っているかを紙一枚にまとめます。店頭のタブレット、事務所のパソコン、スタッフの業務用スマホは、担当者が曖昧なまま更新が止まりがちです。
- 共用のパソコンは「月初の開店前に確認する」など日を決めると、誰も触らない状態を防げます。
- ホームページには、自分では更新できない土台があります。サーバーのソフトや、更新画面を動かしている仕組み(CMS)です。ここの修正は制作側の仕事なので、誰が見ているのかを契約書か見積書で確かめておくと安心です。
- お客様側の端末が古い場合、問い合わせフォームが送れないことがあります。「送ったのに返事がない」という声が続くときは、この可能性も考えてみてください。
💡 2026年10月時点で、当社の場合はホスティングとSSL(TLS)を月額に含み、土台側の更新はこちらで行っています。料金ページで月額に含まれる内容を確認いただけます。


